「陽咲はね、あなたに恋をしていた。けれどそれは叶うはずのない恋だった。あなたがここに迷い込んで来たとしても、陽咲はそんなあなたを元の世界へ導く事が仕事なの。それをわかっていて陽咲はあなたに会える日を待ち望んでいたわ。私はそんな陽咲を見てるのが辛かった…。」

「陽咲…。」

「亜夕ちゃん、今日の明け方4時があなたの中の決断の時。その瞬間全てが決まるわ。ここに残るか、元の世界に帰るか。決めるのはあなた自身よ。すぐそこの川原で陽咲が待ってるわ。行きなさい。」

「でも、私まだデーテといたい!」

「亜夕ちゃん…。」

デーテは私を強く抱きしめた。

「私と過ごした日々を、忘れないで。私も亜夕ちゃんとの楽しかった思い出は一生忘れない。」

「デーテ…。」

「亜夕ちゃん、愛してる。強くなりなさい。いつも見守ってるわ。あなたなら大丈夫。」

「デーテ、ありがとう。忘れない…絶対忘れないから…!」

私は泣きながらデーテと抱き合い、家を出る時は笑顔で手を降った。
デーテも笑顔で手を降って、いつまでも私の後姿を見つめていた。
私も何度も何度も振り返って、何度も何度も手を降った。