私はそれがなにより嬉しかった。
どうして私は気が付かなかったんだろう。
思えば悠太はいつも私に寄り添ってくれてたじゃないか。
私はあの日悠太に言った。
「悠太は私を知りすぎてる。私は知られたくない事だらけで、隠す事に必死だったのに。」
悠太は私の事を知った上でいつも受け入れてくれたじゃないか。
悠太がいたから私は保つ事が出来てたんだ。
それなのに私は自ら悠太を遠ざけた。

ねぇ悠太。
今すごく悠太に会いたいよ。

「約束だよ。」

玄関の前でゲームをする幼い二人は、微笑み合っていた。
私はどうしても思い出せない。
悠太と交わした約束を。

「悠太、教えて!約束ってなんの事?悠太!悠太!」

私の声は悠太には届かない。

気が付くと私の隣でデーテが笑いかけている。

「綺麗な花。それと可愛い虫。でも、可哀想だから庭に帰してあげましょう。」

「えっ?」

デーテは庭に出て小さな虫を芝生に放した。

「また会いましょう。さようなら。」