母の台詞を思い出し気持ちが沈んでいた私は、デーテの呼びかけで我に帰る。

「今日は寒いから外へ出ないほうが良さそうね。」

窓の外を見ると、一面に雪が積もっていた。
私は外に気を取られ、テーブルの上のコーヒーが入ったコップを倒してしまい、さっき着替えたばかりの洋服も絨毯も汚してしまった。

その瞬間、突然の頭痛に襲われ、頭が割れるほど痛い。
床にしゃがみ込んだ私は、そのまま気を失った。

そして気が付くと、驚く事に私は自分の家にいたのだ。
けれど、私がそこに存在しているのではなく、私は姿形もないまま天井付近から家を見下ろしている。

「いったいどうなってるの…。」

その瞬間、リビングのドアの向こうから足音が聞こえた。
そしてドアが開いて部屋に入って来たのは、なんと幼い頃の私と当時の母だ。
私はテーブルに着くなりコップに入っているジュースを手に取る。
そしてそのコップをまたテーブルに置こうとした瞬間…。

「危ないっ！」

私はつい叫んだ。
けれどその声は誰にも届いてはいない。
コップの中のジュースは幼い頃の私の服と絨毯にこぼれた。
すると…。