デーテはうっすらと笑みを浮かべ、とても優しい口調でそう言った。
私が戸惑っていると…。

「安心して。デーテなら亜夕の怒りや哀しみを受け入れてくれるから。」

陽咲に背中を押され、私はデーテと共にその場を後にした。
そして辿り着いたのは、朝屋とは打って変わって洋風のまるで城のような大きい家だ。

「ここは私の家。今日からはあなたの家でもあるけど。さあお入りなさい。」

「おっ、お邪魔します。」

「ふふふ。自分の家に入るのにお邪魔しますはいらないわ。」

そう言うとデーテはくすくすと笑った。

長い螺旋階段の先には、真っ白な扉がいくつも並んでいる。
デーテはその中の一つの扉を開けると…。

「ここが亜夕ちゃんのお部屋だから好きに使ってちょうだい。」

「はい。」

「今日は陽咲に連れまわされて疲れたんじゃない?」

「うーん…少し…。」

「陽咲、いい子でしょ?昔からあなたの事が大好きなのよ。」

「はい…。」

「ふふふ。怯えてるのね。大丈夫、私はあなたを叩いたりしないから。明日から少し忙しくなるから今日はもうおやすみなさい。」

デーテはそう言って部屋を出た。

突然私の母を名乗るデーテに引き取られ戸惑うも、デーテが醸し出す優しいオーラに私はどこか安らぎを感じていた。