すると、会場内は一気に盛り上がりを見せた。

「雨音じゃねーか!最近全然顔出さないからみんな寂しがってたとこだぜ。さっそくいつもの話を聞かせてくれよ!」

「あぁ。いいだろう。」

そう言うと雨音は私の方を見て不気味な笑みを見せた。

「俺はなぁ、あの中でずっと待ってたんだ。温かいぬくもりを常に感じさせてくれたあいつの腕に抱かれるその瞬間を。あの中にいる間、耳をすませて聞いていた。あいつの声は、俺の生きる希望そのものだった。けれどあいつが俺に向けて話す言葉は、謝罪の言葉がほとんどだった。一度でいいから聞いてみたかった。愛してるの一言を。けれど、その願いも虚しく、俺は早すぎる段階で光の元にさらされたよ。あーあ、こんなはずじゃねー。何度そう思ったことか。あいつの腕の中に抱かれる事を夢見て心踊らせた俺ってかっこ悪いと思わない?」

思った通り、会場は爆笑の渦。
頭がおかしくなりそうで、私はたまらず会場を飛び出した。
そして急いで階段を登り自分の部屋に戻ろうとすると…。

「亜夕。」

振り返ると、雨音が立っていた。