──芭蕉さんが「少し出掛けてくる」と庵を出てから、もう三ヶ月という月日が経っていた。

"少し"と言っても、それは遠出の旅らしいけれど……。


あの人は生きてるんだろうか?
芭蕉さん、旅は好きなくせにすぐ疲れちゃうし。

まったく、困った弱ジジィだ……。



「曽良くーん!」

「……」

「曽良くんっ!」


え、このタイミングで……?




「ただいま!」




  * *



「いやー結構かかっちゃったよ!
留守番頼んじゃってごめんね」

「……いえ」