「うぅ〜……」 「芭蕉さん、なんの用です?」 「開けて〜……」 「……ちっ」 ──ガラガラッ 舌打ちをしてから、もう一度扉を開けてやる。 「なんですか、芭蕉さん」 「お家わからない…」 「は?」 「曽良くーん! 私迷子だよ!どうしよう! 芭蕉庵どこいったー!」 芭蕉さんが勢いで僕に抱きついてくる。 このジジィ、……ん? 「芭蕉さん、お酒呑みました?」 「うん……?なんで?」