「…ゆ、や………」
來未の体をそっと離すと、來未は目を見開きながら涙を零していた。
『………無事で良かった…』
「………」
何も答えなかったけど、來未は俺の服の裾を弱々しく握った。
「安静にしていれば、大丈夫でしょう…」
医者は、そう言いながら点滴の袋を変えてから病室から出て行った。
「來未………」
親父さんが、來未を見ながらまた涙を零す。
『………俺、飲みもん買って来ます』
來未が、俺の服の裾をぎゅっと握ったが、ソレをそっと離して、ニコッと笑った。
ー大丈夫ー
落ち着かせる様に頭をポンポンして、病室を出た。
………話せると、良いな。

