慧は学校が終わり、家に帰って自分の部屋に入っていった。

「はぁ~。今日はさんざんな一日だった。テレビでも見て気分転換でもするか。」

そう言いながらテレビの電源をつけた。

しかし、いつもならちゃんと番組が映るのに今日は何も映らなかった。

不思議に思った慧は、テレビに近づいて調子を見ながら言った。

「ん?おかしいな。いつもなら映るのに。ついにこのテレビも壊れたか?」

そんなことを言っていると、テレビの電源が入った。

しかし、何かがいつもと違った。

どこのチャンネルをまわしても、画面は真っ暗なままで何も映らなかった。

「いったいどうなってんだよ…。」

そう慧が言うと、急にどこからか声が聞こえてきた。

「『‘‘ヤットミツケタ’’』」

「…この声、まさか…。」

そうどこからか聞こえてきた声は、慧が夢で見た人影と同じ声だった。

慧があっけにとられているのにかまわず、人影たちは続けた。

「『ナンデ、ボクタチカラニゲダシタノ?』」

「はっ?」

慧はわけもわからず、間抜けな返事をした。

しかし、人影は気にも留めず続けていく。

「『ネェ、ドウシテキミハボクタチガイルセカイニ、クルコトガデキタノ?』」

「『アノトキハキケナッカタ。』」

「『ゲド、イマナラキケル…。』」

その瞬間、さっきまで自分の部屋にいたはずなのに、周りは何もない真っ暗だった。

そう、あの時の夢みたいに。何もない闇の世界。

慧は驚きと恐怖の表情で、人影たちに言った。

「な、なんで…お前らがいるんだよ!!」

「ドウシテキミハ、ボクタチノイタセカイニイタ?」

「ドウヤッテボクタチノセカイニキタノ。」

人影たちは、慧にそう言いながら近づいていく。

慧は近づいてくる人影たちから逃げるように、

一歩一歩後ろに下がって行きながら、人影たちに言う。

「く、来るな!!」