そして昼休み。一人の男子が彼と昼食を食べていた。

昼食を食べていると、その男子は彼に尋ねた。

「慧、さっきのいったいどうしたんだ?」

「あ~。変な夢見た。」

「変な夢?」

「なんか最初は、あたりどこを見渡しても真っ暗なんだ。」

「それで?」

「呼んでも返事はないし、まるで『闇の世界』みたいな感じでさ。

しばらくすると、人影が見えてきたんだ。」

「…人影?」

「あぁ。そしてその人影は、どんどん俺のところに近づいてきたんだ。」

その男子は、黙って彼の話を聞いていた。彼は、そのまま話を続けた。

「そして俺の近くで何かを切り裂くような音が聞こえたんだ。

その音につられるように、俺は辺りを見回した。

そしたらその人影たちは、いきなり殺し合いを始めたんだ。」

「こ、殺し合い!?」

その男子は驚いて大声で言ってしまった。

教室にいた生徒たちは、いっせいに二人のことを見た。

それに気づいた慧は、その男子を止めた。

「おい!声でかい!!」

その声に男子は我に返った。

この男子の名前は、神楽坂煉(かぐらざかれん)。

慧とは小さい頃からよく一緒に遊んでいた幼馴染。

煉は慧に話を続けるように言った。

「わりぃ、続けて。」

慧は煉の言葉にうなずき話を続けた。

「俺は当然人影たちを止めた。

だが、俺の声はまるで届いていないみたいで殺し合いは続いたんだ。」

「それで慧はどうしたんだ。」

「そりゃ、もう一度止めたさ。」

「どうだったんだ?止まったのか?」

「あぁ…。」

その言葉を聞いた煉は、深いため息をついて安心した。

けれど、慧の顔を見て不思議に思った。

慧の顔はまだ続きがあるんだと言っているように見えた。

煉は慧に聞いてみた。

「もしかしてまだ続きがあるのか?」

煉の言葉に慧はうなずいて、話を続けた。

「俺もやっと止められたって思った。

けれど今度は俺に質問してきたんだ。」

「質問?どんな?」