「・・・忘れさせて」

 その言葉を合図に

 あたしと泰雅は唇を交わす。




 男は、あたしを何だと思ってるのだろう。

 乱すだけ乱して片付けもしないで逃げて行く。


 あたしの心に落書きをしていく。


 もう、どうにでもなればいい。

 流れに身を任せばいい。



「瑠維・・・、もう傷つけねえよ。

 俺は、もうお前を手放したくない。

 だから、俺のこともしっかり見てほしい」


「泰雅・・、抱いて」

「抱かない」

「なんで」

「大切だからだよ!」


 ・・・泰雅・・


「もう、失いたくねえよ・・・・・」


 辛いのはあたしのはずなのに

 泰雅の方が辛そうで。