「あの生徒…アイ…は正体がバレて消えてしまった。人間界のあの生徒と関わった人々からの記憶からも消えてしまった。だが……」


校長はいつになく真面目な表情で担任にしゃべりかける。



「あの、伊藤と言う少年……命をかけて助けた少年….…」

と、その続きを言おうとしたその時


《校長、校長、クロですにゃ…》


どこからか声がした。

声のする方向を見てみると…


ブラックホールのような扉からブラックホールのように黒い猫があらわれた。


「あぁ、あの生徒の使い魔かね?」

と校長。


《ですにゃあ》

嬉しそうに言う。



「…いたのか…」

担任がひそかにつぶやいた。



《なんだにゃ⁈担任っ‼ぶ、無礼者だにゃあ、まっったくだにゃん‼》



怒りでしっぽがたぬきのようになっている。


「…なんでもありません。…プッ。」


下を向いて反省してるのか笑っているのか…。

それとも何にも考えていないのか…?


多分、笑っているであろう。


「で、何のようだね使い魔?」


校長がため息をつきながら聞く。