「じ、じゃあ、なんで、桜木…っ消えて…?」


「それは、ね、私の正体が、バレたら、…魔女は正体がバレたら消えてしまうの…。」




桜木…。


「…俺の、ために…?」


「う、ん‥伊藤が‥‥、好きだから‥‥、助けたかったの‥。」


桜木っ‥‥‼


今更かもしれないけど、

「俺も‥‥、」


俺も、俺も‥‥。



「桜木が、好きだよ…。」


サアッと風が吹いた。


もう桜木は膝から上しかない状態だった。


「伊藤、‥ほん、と、う‥‥?」


苦しそうだ、そりゃ、消えているからな。

でも、驚きの表情もうかんでいる。


本当か、なんて…


「嘘じゃない。本当だよ、桜木…。」


桜木は安堵の表情をほんの少しうかべ、それから満面の笑みになった。



「両思い、だねぇ‥‥!」


ドキッとした。


俺はこいつのこういうところが可愛くって、


好きなんだよな‥‥‥。


こいつの、桜木の笑顔が

俺を幸せにする。



幸せにするのに、今は‥‥

桜木が消えてしまう‥‥
いなくなる…?

そんな、考えるだけでもツライこと。

それが今、本当に現実のことになりそうで、怖いんだ‥‥。

…桜木…。