[side 喜瀬夏輝]

「嘘、雨…私傘持ってきてないわ…」

哀緋ちゃんは不機嫌そうに呟いた。

「傘なら私沢山持ってるよ?」

「夏輝本当?!」

「私にも!」

「俺も!」

気がつけば私は沢山の人に囲まれていた。

皆ちょっとはもってこようよ(汗)

防水率10%だったから無理もないか。

傘を貸し終えた時、哀緋ちゃんが心配そうに私を見た。

「大丈夫!奇跡的に後1本あるんだよ!」

哀緋ちゃんは安心したらしく、ふっと笑い教室を出た。

私は委員会があったことを思い出し特教に行った。

「遅い!」

私なりに急いできたけど遅かった。

「ガツンと言ってやりたい所だが…また傘か?」

「はい…」

先生はため息をつき机に座った。

「まぁいい…喜瀬進行」

「はい…」

私は学級(イベント)委員長で毎日大変です。

中2は行事が多いからなおさら。

「まず5月のオリエンテーションについてなのですが…」

…皆聞いてくださーい(泣)

「俺から提案!自由行動入れたら?」

「いいねぇ!流石柊斗!」

もしかして助けてくれたのかな?

その後も多軌君の意見により全て決まった。

委員会が終わったとき、私は多軌君の所に行った。

「あのっ、ありがとうございましたっ!」

「喜瀬さんも、もう少し頑張ってくれれば…」

あ、今絶対ちんちくりんって思われた。

「なんてね(笑)」

多軌君はいたずらに笑った。