なないろブーケ

聞いたらいけない
気がしてはいたのだけれど、
里美お姉さんが
学校を辞めた理由を
私はどうしても聞かずにはいられなくて、
いつもより少しだけ
『子供の顔』をして彼女に聞いた。

そうしたら彼女は

「21歳の誕生日プレゼントに
私を自由にしてあげたのよ。」

って五歳年下の私には
難しい日本語で答えてくれた。
確かにお姉さんの誕生日は
七月だったんだけれど、
何かもっと他に意味が
ある気がして仕方なかった。
彼女からすれば、
わざわざ『子供の顔』をしなくても
私は間違いなく『子供』で、
それ以上理解はできなかった。