……矢田はある車の前で足を止めた。
それは小百合の車だった。
矢田が小百合の車のドアを開けた時……俺はあるものを見た。
……花音ちゃんだ。
ただ……花音ちゃんの様子は普通じゃなかった。
車のシートにぐったりと横たわっていて……息遣いがとても荒かった。
『……何をしている』
『っ……!!
……瀬和様……』
矢田は驚いたように俺を見た。
俺は花音ちゃんの額に手を当てた。
『すごい熱じゃないか!!
こんな子を車の中に放置していたのか!?』
『……私が無理を言って花音様を連れてきたのです』
『なぜそんなことを……』
『……小百合様は、花音様を医者にも診せずに放置しておられたので……』
……さすがのあの秘書の男も我慢できなかったらしい。
俺も信じられなかった。
高熱でうなされている娘を放置しパーティーに出るなんて……。
……あの噂は本当なんだと思った。

