青いエプロンのブックオフの店員は近隣の店舗の地図が書かれた地図を手渡した。六郎の求めていたソフトが無かったので、他の店で探すことにしたのだ。
「でも一番近くても、渋谷になりますよ」
「いいです。今日は時間があるので」
フリーター風の男はそうですか、と呟いた。それは六郎に対して、月曜から古本屋をハシゴ出来るなんていい身分だな、と言いたいような、棘のある言い方だった。六郎はありがとうございます、と礼を短く言うと店を出た。
山手線に乗ると当然のことながらスーツ姿の者が多かった。六郎はあまりそのことを考えないようにした。他者の誤解など構わない。そう思うことにした。
渋谷のブックオフは109よりも奥にあり場所が掴みにくく何度も迷ったがようやくたどり着いた。遠出した甲斐もあり、六郎の望んだソフトはすぐに―105円のシールを貼られたマリオが大量に積まれていた―手に入れた。
ひと通りマンガの棚を見渡し、店を出ると空は綺麗なあかね色になっていた。スーツ姿の一団が、駅に吸い込まれていくように見えた。
「でも一番近くても、渋谷になりますよ」
「いいです。今日は時間があるので」
フリーター風の男はそうですか、と呟いた。それは六郎に対して、月曜から古本屋をハシゴ出来るなんていい身分だな、と言いたいような、棘のある言い方だった。六郎はありがとうございます、と礼を短く言うと店を出た。
山手線に乗ると当然のことながらスーツ姿の者が多かった。六郎はあまりそのことを考えないようにした。他者の誤解など構わない。そう思うことにした。
渋谷のブックオフは109よりも奥にあり場所が掴みにくく何度も迷ったがようやくたどり着いた。遠出した甲斐もあり、六郎の望んだソフトはすぐに―105円のシールを貼られたマリオが大量に積まれていた―手に入れた。
ひと通りマンガの棚を見渡し、店を出ると空は綺麗なあかね色になっていた。スーツ姿の一団が、駅に吸い込まれていくように見えた。

