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長い間、部屋に篭っていた俺は外に出るのが怖かった。
親はどう思うだろうか?
外を歩く人は俺をどう見るのだろうか?
ボサボサに伸びた髪。
痩せこけた顔。
多分、気持ち悪いとか汚らしいとか思われるんだろうな…
そう考えるとドアノブを回せなかった。
真っ暗な部屋を照らす青い光。
振り返ると、画面には想像して描かれた『赤い目の破壊者』。
それを見て思った。
俺は普通になるのが嫌だった。
学校に通って、友達と喋って、授業を受けて、家に帰れば家族と団欒する。
そんな普通の生活を送って普通の人間になるのが。
特別でいたかった。
成績や運動能力じゃない…何か特別な。
それを目の当たりにした今、そこに進まなくては特別にはなれない。
――キィ…
ドアノブは意ともたやすく回った。
意識の違いだ。
毎日、風呂場には行けるんだ。
外に出るのとなんら変わりはない。
階段を下りて玄関に向かう。
家の玄関なんて久しぶりだ。
下駄箱から靴を取り出す。
小さい。
ははっ、そりゃそうだ。
もう何年と靴なんか履いていない。
あれから八年も経っている。
そりゃ足だって大きくなっているさ。
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