シャクジの森で〜番外編〜

・・・挨拶を終え、ホストとして最後の一人が広間を出るまで見送る。

皆、満足げな表情なのを嬉しく思う。

たくさんの紳士を相手にし、疲れた様子のシンディにお休みのキスをして部屋に送り、自らも部屋に戻り上着に手を掛けた。

ポケットの辺りからカサッと小さな音がし、エミリーからの贈り物があることを思い出す。



“ずーっと渡しそびれていたの”



一体、何が入ってるのだろうか。

薬だという物も含め、少しばかり気持が高揚するのを感じながら包みを開ける。


すると、そこにあったのは、あの時の―――・・・。



「あぁこれは。そうか・・そうだったな・・・」



彼女は、確かに、幾度も渡そうと試みていた。

それを、先延ばしにしたのは、この私だ。

少しでも、繋がりを持とうとしたんだったな。



入っていたのは、イニシャル入りの私のハンカチ。


出会った頃、薔薇園での一件で彼女の手首を冷やしたものだ。

彼女は、まだ、これを持っていたとは―――




『パトリックさん。お誕生日、おめでとうございます。

このハンカチのこと、覚えてますか?

あの時は、本当にありがとうございました。

お返しするのと一緒に、この日の為に選んだ新しいハンカチも同封しました。

どうぞ、お使いください』




同封されていた薔薇印がある薄桃色のカードには、彼女らしい綺麗な文字でこう書かれていた。

真新しい白に金糸でイニシャルの刺繍がある。

これはきっと、彼女の手で縫われたものなのだろう。




―――新しいハンカチ、か―――

エミリー。

大切に、使わせてもらうよ―――



私も、例の物を渡さなければ。

エミリーに、背中を押された気がした。