シャクジの森で〜番外編〜

きょとんとした様子で首を傾げるエミリーに、もう一度、何のことかな?と訊ねると、ポケットの中を探り一つの包みを出した。

綺麗なリボンがかけられているが、これは―――



「えっと、あの・・おあずかりしていた、私の故郷の父からのものなのですけど。パトリックさんの・・。これは、お薬のひとつなんです。だからわたし、お疲れなのだとおもっていたのですけど・・・」



違うのですか?と、愛らしく不思議そうに首を傾げる君に、再度否定して微笑みを向ける。

例の件でなかったことに安心すると同時に、残念な気持ちになる。



・・・そうか。

中身は、あの謎の物体なのか・・・。



「アランは茶の一種だろうと言っていたが、薬だったんだね?」



成るほど、道理で苦そうな香りがしたわけだ。

戻りが遅かった理由は分からないが、とりあえず、エミリーが困るような変なモノではなかった訳だ。


・・・となれば、だ。


何故国王はそんなものを私に賜ったのだろうか。

私は体の調子など崩していないぞ。


―――確か、戴いたあの日は―――



「えぇ、そうなんです。この効能によくわからない言葉があって、それにお薬だから分量をきちんとさせないといけなくて、訳すのがおそくなってしまったの。やっと今日出来あがったから、急いでお渡ししようとおもって持って来たんです。はい、これを―――・・・紙に、飲み方も効能も書いてあります」

「すまないね、随分面倒を掛けたね」



国王は“削り取って飲め”と、これだけの記述だったというのに。


・・・しかし・・・



「・・・これは、薬にしては綺麗に包んであるんだね。君からの贈り物だと勘違いしそうだ」

「あ・・えっと・・これは、わたしからの誕生日の贈り物も、内緒でこっそり入れてあるんです。実はずーっと渡しそびれていたものなの。あとで開けてみてください」



きっと気に入ってもらえると思うわ。


そう言って、はにかむようにうふふと笑う。


―――君からの・・・。

しかも、ずっと前から、か・・・。

いつからなのだろう。

もしや、アランにも内緒なのだろうか。

私の掌より小さな包み。

大きさとしては小さな物なのだろうが、何をくれたのだろうな―――



「そうか、後の楽しみが出来たよ。ありがとう」



さて。


そろそろ曲が終わりに近づいてきたな、アランが間もなく戻ってくるだろう。

そうすれば、私の役目も彼女と二人だけの時間も終わりだ。



「エミリー、君とダンスが出来て楽しかったよ。思わぬこともあって、ここ最近にない幸せな誕生日になった」