シャクジの森で〜番外編〜

それは、サリーにも皆にも言われたことだ。


「アラン。十分に、分かっているよ」



―――思考の理解、か。

ここでレオ王子の名が出たのは大いに心外だが、これに関してだけは、君が、私の思考を理解してもらっては困る。

彼女が、哀しむ顔は見たくないからな―――

だがしかし、余計なことか。

君が、彼女以外に目を向けることなど、今もこの先も、皆無なのだから。

そこのところは、本当に、羨ましく思う。



「だが、アランも体には気を付けてくれ。私も、君のことは幼き頃より弟同然に思っているんだ。これでも、いつも気遣ってるつもりだ――――わかるだろう?」



さりげなく肩に手をおけば、パトリック、分かっている・・・と言って手をぐっと握り返してきた。

厳しめの表情が、少し和らいでいる。

アランは、まだ年端も行かぬ頃から王子としての厳しい教育を受けて来たのだ。

これからも、この国を背負っていく君を、私はあらゆる面から支えていくつもりだ。

それは、どんなに汚いことでも―――常に、覚悟は持っている。

アラン、君は、決して独りではないのだ。

それに君が倒れれば、誰が一番に哀しむのか・・・臣下でも私でもないのだ。



「すっかり遅くなった。シンディが腹を空かせて待ってるだろう。早く帰らねばな」

「あぁ、そうだった・・・悪いな。手間を取らせた。報告書は、明日に上げるよ」



この手は、明日には必ず動くようにする。


―――しかし、そうか。

謎の物体であるアレは、エミリーの国のものなのか、道理で見たことがない筈だな。

あぁそういえば。

色々にとりまぎれてしまい、まだ確かめてなかったな。



「―――っと・・アラン、待ってくれ。一緒に見て欲しいんだ」



では明日に。

そう言って足早に歩いて行くのを呼び止める。

すまない、早く彼女の元に帰りたいだろうが、もう少しだけ付き合ってくれ。



「もしや、まだ何かあったか?」



振り返ったアランの表情がピリリと引き締まるのを見て、上げていた手を横に振る。



「いや、そうじゃない。コレだ―――実は君も気になってるんだろう?」



そう訊ねながらポケットの中を探り、ずっと入れたままだった例の小袋を取り出した。

エミリーの父君は立派な学者なのだ。

その方からの贈り物ならば、あちらでも貴重な良いものに違いない。

朝覗き見た限りでは、木の棒にしか見えなかったが・・・。



「君の義父君ジャック殿から、というか・・正しくは国王から戴いた物だ。実は、私も分からなくてね・・・君は、何だと思う?」