シャクジの森で〜番外編〜

「―――っ、私を、か?」

「少しばかり抜けた計画。緑の瞳との証言もあり、レオなのか・・とも思ったが、これはどうも違う。私の留守を狙い来たところを合わせ鑑みれば、反応、対処、兵の長である君の力を計り、あわよくば――――といったところだな。この入城許可書を投げたのが、その最たる行動だ。他の誰でもない、しっかりとサリーを狙ったのだろう。気付かず怪我をさせていれば・・・」



君が傍にいなければ投げなかっただろうな。

場に居ないために、あくまでも推測にすぎぬが。


アランの言葉が頭の中で渦を巻く。


もしもサリーに怪我を負わせていたのなら、私は―――


「アラン、それは―――」



知らずに拳を握り、包帯の窮屈さに顔をしかめつつ唇を引き結ぶ。

言葉が出ない。

何てことなんだ―――



「分かるであろう?一時的にでも、私の右腕である君を削ぐ、これも目的の一つにあった。そう考えておいた方がいいだろう」



まぁ、その手では数日の間削がれたのも同然であり、目的は果たしたと言えなくもない。

そう言うアランに、再度、包帯は大袈裟に巻かれており、左手だってあるのだ、業務と訓練には何の支障もないことを告げる。

明日の治療の際には、もっとしっかり動くよう巻き直して貰わねば。



「今日の件についてはよく分かった。まことご苦労だった・・・私の視察の報告は明日に上げるゆえ―――――君は、早く帰宅せよ。シンディが待っているのだろう」

「君も、エミリーが待ってるな・・今日は、本当に楽しげだったぞ」

「あぁ、もっと多く機会をもうけなければならぬ。難しいことだが・・・」



エミリーの名を出せば、鋭かった瞳がふわりと和らぐのを微笑ましく思う。

全く、随分と、分かりやすい男になったものだ。



「―――あぁ、そういえば・・・父君からの伝言を預かっておった。『パトリックよ、舞踏会は無理か?』と」



立ち上がって、歩きかけた体勢のまま止まったアランを凝視する。



「は―――?」



―――聞き違いか?

舞踏会、とは??

・・っ・・それは・・。

あぁまさか―――


“答えられないこともあるわ”



「シンディ、か・・・直接お願い申し上げるとは・・・」

「詳しく申せば・・・帰城の挨拶をし終えた後に父君がこう仰ったのだ―――」



『時にアランよ、近々貴賓館にて舞踏会を開こうと思うのじゃが、どう思う?』