シャクジの森で〜番外編〜

「いや、その辺りの事はレスターにも確認させたが、全ての入城者には何の偽りもない」



ならば―――と、再び思考に入るアランに自分なりに纏めた考えを披露していく。

侵入者の正体と目的は未だ知れないが、今日起こったことについては何とか説明出来る。



先ず、最大の疑問だった侵入経路はメイドの話から明らかだが、もう一つ、サリーの入城許可書を利用して入った者がいる。

それが、恐らく長に近い立場であり、私にこれを投げ返して来た者だ。

用済みならば捨て置けば良いものを、これ見よがしな行動を取るとは、かなりの挑戦的な性格の持ち主だと思える。

“ここに侵入するなど、簡単だ”とでも言いたいのか―――



「二人は城壁を超えたが、あとの一人、もしくは二人は、堂々と城門を潜っている」



市場通りにて荷物を拾う際にサリーの入城許可書を奪い、城門でひと騒動を起こさせ、兵が気を取られている隙に城門を潜ったのだろう。

使用人の姿をし道具を持っていれば、あの状況では見咎め難い―――



「先に来た二人が城門外にいた者を手引きした、ということだな?」




そうだ。

二人は城門を出、後から来た者と合流し、再び城内に入った。

奇しくも皆が落ち葉清掃をしていた。各々道具を持ってさえいれば、方々に動いても他の使用人とまざり、何の不思議もない。

それは、城門の外でも。

もし、城門を出る際に呼びとめられても“道路も清掃を”と命じられたとでも言えば、通じると踏んだのだ。

警備兵たちも、城内に侵入者がいるとは思わない、さぞかし楽に出入りできただろう。

知らぬとはいえ、サリーも侵入者に手を貸したことになってしまったな。

入城許可書を返してきたのは、それを言いたいがためか?




「・・・それを行うには、事前調査と準備が必要だな・・・。優秀な集団だ、相当の力と地位のある者が後ろに付いていると考えて間違いない。が、パトリック。モルトの落ち葉清掃は本日の予定にはなく急に決まったことであり、事前調査は不可能だった筈だ」



どう来るつもりであったのか・・と言ってこちらを見るアランに、アレを指し示す。




「そこで、だ。モルトの発見した不審物。アレが関係してくるんだ。アラン、君に今朝伝えただろう?日刊紙の記事を――」

「―――例の、遊び、か。・・・確かに、道中にも紙を持った青年を何名か見た。兵に“ハメを外すな”と口頭で注意させたが―――・・やはりあれは、少々取り締まりをせねばならぬ。後に犯罪の種になりうるゆえ」