「君を待つより自ら出向いた方が早いと判断したゆえ、父君への挨拶の後すぐに参った」
まだ纏めの段階であったか。
そう言って机上を軽く一瞥したあとこちらに向けた瞳は、全てを射抜く程に鋭いものだ。
帰城時よりも厳しく、全身からは殺気までもが感じられるのは、侵入者があった旨を国王から伺ったためだろう。
詳細が知れないために、当時の私よりも気が立っているように思う。
救いは、彼女に危害が及ばなかったことだけだ。
「その怪我の件、私の留守中に起こったことすべて、急ぎ詳細を知りたい。それと、今、ここに居たのは侍女長か。こちらに来るとは珍しい・・何かあったのか?」
「あぁ。侍女長は、今日の件に非常に関係深い情報を提供してくれたんだ。一緒にいたのは、侵入者を目撃した唯一の者。彼女は怪我をした上に口外しないよう脅され、一日中怯えて震え、今ようやく事の次第を話してくれた」
さぞかし勇気が要ったことだろう。
このあと数日間は、恐怖心が消えない筈だ。
「―――そうか。その様な事が・・・」
苦し気に呟くアランの眉がスゥと動き、ますます険しい顔付きになる。
当然だ、命を奪うなどと簡単に口にするとは、人としてあるまじきことだ。
改めて強い憤りを感じ、思いに任せて右手を握り締めれば包帯の窮屈さと共にツキンとした痛みが走った。
この程度の傷みなど―――
「―――始まりは、先の話のメイド、ジェシカの怪我だ―――――・・・」
サリーの城門での騒ぎ、モルトの不審物発見、エミリーの護衛中に起きたこと、頭の中で整理してあったことを順序だてて話していく。
アランは時折頷き口元に手を当てて静かに聞いている。
今彼の頭の中では与えられた情報一つ一つが目まぐるしく動き、徐々に形を成しているのだろう。
「で、彼女の護衛中に侵入者が投げて寄越したもの、怪我の原因となったのが、これだ」
君にも覚えのある物だぞ。
ポケットの中のものを取り出し広げて見せれば、彼の眉が僅かに上がった。
机の上には血に染まった、本程度の大きさの紙切れがある。
上部には“入城許可書”下部にはアランのサインがあり、端に書かれた文字が“お返しする”と読み取れるもの。
サリーが“うっかり忘れた”ものだ。
「・・これが侵入者の手にあったとは・・入城の際に使用したということか」
まだ纏めの段階であったか。
そう言って机上を軽く一瞥したあとこちらに向けた瞳は、全てを射抜く程に鋭いものだ。
帰城時よりも厳しく、全身からは殺気までもが感じられるのは、侵入者があった旨を国王から伺ったためだろう。
詳細が知れないために、当時の私よりも気が立っているように思う。
救いは、彼女に危害が及ばなかったことだけだ。
「その怪我の件、私の留守中に起こったことすべて、急ぎ詳細を知りたい。それと、今、ここに居たのは侍女長か。こちらに来るとは珍しい・・何かあったのか?」
「あぁ。侍女長は、今日の件に非常に関係深い情報を提供してくれたんだ。一緒にいたのは、侵入者を目撃した唯一の者。彼女は怪我をした上に口外しないよう脅され、一日中怯えて震え、今ようやく事の次第を話してくれた」
さぞかし勇気が要ったことだろう。
このあと数日間は、恐怖心が消えない筈だ。
「―――そうか。その様な事が・・・」
苦し気に呟くアランの眉がスゥと動き、ますます険しい顔付きになる。
当然だ、命を奪うなどと簡単に口にするとは、人としてあるまじきことだ。
改めて強い憤りを感じ、思いに任せて右手を握り締めれば包帯の窮屈さと共にツキンとした痛みが走った。
この程度の傷みなど―――
「―――始まりは、先の話のメイド、ジェシカの怪我だ―――――・・・」
サリーの城門での騒ぎ、モルトの不審物発見、エミリーの護衛中に起きたこと、頭の中で整理してあったことを順序だてて話していく。
アランは時折頷き口元に手を当てて静かに聞いている。
今彼の頭の中では与えられた情報一つ一つが目まぐるしく動き、徐々に形を成しているのだろう。
「で、彼女の護衛中に侵入者が投げて寄越したもの、怪我の原因となったのが、これだ」
君にも覚えのある物だぞ。
ポケットの中のものを取り出し広げて見せれば、彼の眉が僅かに上がった。
机の上には血に染まった、本程度の大きさの紙切れがある。
上部には“入城許可書”下部にはアランのサインがあり、端に書かれた文字が“お返しする”と読み取れるもの。
サリーが“うっかり忘れた”ものだ。
「・・これが侵入者の手にあったとは・・入城の際に使用したということか」


