シャクジの森で〜番外編〜

「っと――――あー、違うんだ。それは言葉通り、毎日でなくともいいということだよ。ただのビタミン剤だからね。つまりは、飲まなくても一向に構わないんだ」

「そう、なの??それなら処方しなくてもいいのに・・・」



フランクさんもよくわからないことをするのね、と再び袋を見てぷらぷらと振る。

その様がどうにも危うく思えて仕方がない。

アレは平たいものだが、角が硬い。

振り幅にそれ程勢いはないが、そのうち袋が破れて中身が飛び出るのではないだろうか。


すでに中身に対する興味は失ってるようだが、もしも―――・・・。

あーいやいやいや、兄として、やはりそれは、マズイ。



「さぁシンディ?分かったら、それをここに置いて。今度は、私からの質問に応えてくれるかい?聞きたいことがあるんだ」

「え、お兄様が、私に!?いいわ、何でも聞いて!ね、もしかしてチェスのこと?」

「それはまたゆっくり聞くよ。今は、私の仕事に役立つことだ」



お兄様の役に立つなんて嬉しいわ!と嬉々として頷きながらも、あ!でも答えられないこともあるわよ?としっかり牽制することも忘れない。

このようなところは私の妹だなと思うが、聞かれたくないこととは、何だろう・・・。



「大丈夫だ、変なことは聞かないよ」


そう切り出し、今朝の日刊紙にも書かれていた事柄、アランにも進言したあの事を聞いてみる。

シンディの周りでもあるのかい?と。

そうすれば、予想通りのものが返ってきた。



「あるわ。クラスの男子なんて、夢中になってるわよ。ほんと、子供なんだから。そのうち、学校長から禁止令が出ると思うわ」



同じように頭を使う物なら、エミリーさんのお国の遊びのほうが断然いいのに。

そう言ってむっつりと口を尖らせた。

何か嫌なことがあったのかい?と水を向ければ、迷惑を被ったことのアレコレを話して聞かせてくれる。



“城内でも気をつけよ”



城の中で行うなど可能性はほとんどないと思っていたが。

私の推測が正しければ、アランの不在中ならばと、一部の使用人達がはめを外したといったところか。


侵入者たちの身のこなしに隙のなさ。

我が国の密の者たちと同等であるに関わらず、存在の痕跡を残すなどと抜けたことをすると思っていた。

何とも紛らわしいことをしてくれたものだが、そのおかげで侵入者に気付け、彼女を守れたのは幸いだったな。


もしも気付いていなければ――――

最悪の事態を想像し背中に冷たいものが走る。

そんなことがあれば今朝の我が行動の罰どころではない。

本当に、無事で良かった。