「なんだい、これはっ。この傷・・・あぁもう、ハンカチも真っ赤じゃないのさ!」
掌を見せたとたんに赤かった頬を青くしてそう叫んだサリーは、私の手首をがしっと掴みぐいぐいと引張り、ここ噴水まで連れてきた。
ここに座りな!
噴水のへりをびしりと指し、塔の玄関で皆を叱り飛ばした勢いそのままの迫力で、私に有無も言わせない。
素直に座った私の手を取りしげしげと見つめた後、流れ落ちる水までぐっと近付けた。
「まったくもうっ。殿方ってのはどうしてこう無頓着なんだろうね!これはあの時羽虫にやられたんだろ?菌が入ったらどうするつもりなんだい」
叱りつけながらテキパキと傷口を洗い、自らのポケットからハンカチを取り出し、ぎゅうっと縛り付けてくれた。
血に染まったハンカチを噴水の水で濯ぎながら、未だにぶつぶつと小言を言っている。
こんな風に人に叱られるのは、いつ以来だろうか。
随分と、久しい気がするな―――
「すまない、ありがとう。サリー」
「っ―――いやだよ。礼なんて、アンタみたいなお方がするもんじゃないよ!」
「いや、綺麗なハンカチも汚してしまった・・・」
手当てに使われた薄桃色の花模様のハンカチ。
まだ新しいところを見ると、今日のために買ったのだろう。
「ハンカチなんか、いいんだよ。また買えばいいし、それは返さなくていいから・・・あ、あのさ、そろそろ戻らないと―――」
「―――っと、待ってくれないか」
未だ私の用は済んでない。
すくっと立ち上がった腕を急いで捕まえると、目に見えてびくっと身体を震わせた。
そんなに怯えなくてもいいと思うのだが・・・。
少しばかりのショックを覚えつつも気を取り直し、穏やかに話しかける努力をする。
気が立っているせいか、いつもよりも乱暴なのかもしれない。
「ここに座ってくれないか?君に、聞きたいことがあるんだ」
「―――聞きたいこと?って・・店のことかい?」
「いや、君の武器のことだ」
「武器って・・あぁ、この“ヘラ”のこと?・・・これはさ、ケーキを作る時に欠かせないものなんだ。これはソラから貰った大事なものなんだ」
・・・でも、もうケーキ作りには使えないねぇ・・・
ポケットから取り出したヘラを見つめながらぼそっと呟くサリー。
遠いところを見るような瞳と寂しげな声・・・きっと、昔を思い出しているのだろう。
「それは、いつもポケットにいれてるのかい?」
「違うよ。これは最初、道具袋に入れてたんだ。それがさぁ・・・あ、だから―――」
掌を見せたとたんに赤かった頬を青くしてそう叫んだサリーは、私の手首をがしっと掴みぐいぐいと引張り、ここ噴水まで連れてきた。
ここに座りな!
噴水のへりをびしりと指し、塔の玄関で皆を叱り飛ばした勢いそのままの迫力で、私に有無も言わせない。
素直に座った私の手を取りしげしげと見つめた後、流れ落ちる水までぐっと近付けた。
「まったくもうっ。殿方ってのはどうしてこう無頓着なんだろうね!これはあの時羽虫にやられたんだろ?菌が入ったらどうするつもりなんだい」
叱りつけながらテキパキと傷口を洗い、自らのポケットからハンカチを取り出し、ぎゅうっと縛り付けてくれた。
血に染まったハンカチを噴水の水で濯ぎながら、未だにぶつぶつと小言を言っている。
こんな風に人に叱られるのは、いつ以来だろうか。
随分と、久しい気がするな―――
「すまない、ありがとう。サリー」
「っ―――いやだよ。礼なんて、アンタみたいなお方がするもんじゃないよ!」
「いや、綺麗なハンカチも汚してしまった・・・」
手当てに使われた薄桃色の花模様のハンカチ。
まだ新しいところを見ると、今日のために買ったのだろう。
「ハンカチなんか、いいんだよ。また買えばいいし、それは返さなくていいから・・・あ、あのさ、そろそろ戻らないと―――」
「―――っと、待ってくれないか」
未だ私の用は済んでない。
すくっと立ち上がった腕を急いで捕まえると、目に見えてびくっと身体を震わせた。
そんなに怯えなくてもいいと思うのだが・・・。
少しばかりのショックを覚えつつも気を取り直し、穏やかに話しかける努力をする。
気が立っているせいか、いつもよりも乱暴なのかもしれない。
「ここに座ってくれないか?君に、聞きたいことがあるんだ」
「―――聞きたいこと?って・・店のことかい?」
「いや、君の武器のことだ」
「武器って・・あぁ、この“ヘラ”のこと?・・・これはさ、ケーキを作る時に欠かせないものなんだ。これはソラから貰った大事なものなんだ」
・・・でも、もうケーキ作りには使えないねぇ・・・
ポケットから取り出したヘラを見つめながらぼそっと呟くサリー。
遠いところを見るような瞳と寂しげな声・・・きっと、昔を思い出しているのだろう。
「それは、いつもポケットにいれてるのかい?」
「違うよ。これは最初、道具袋に入れてたんだ。それがさぁ・・・あ、だから―――」


