「はい。木立を出たところで、城門の方角から来たレスター殿に出会い報告を致しました。それで、レスター殿よりパトリック様へと伝言を二つ受けております。“木立を包囲し侵入者の捜索を行う”“入城者には異常なし”と」
例の不審物の辺りと寮近辺にはそれぞれ兵を潜ませてある。
更に木立を囲めば、この城の中に敵の逃げ場はない。
追い詰めるのは時間の問題だろう。指揮はこのままレスターに任せておけば大丈夫だ。
「そう、か。分かった。君は引き続き警護を頼む」
頭を下げ素早く彼女達の元に向かうラウルの背を見送っていると、再び近付く人の気配がした。
今度はゆっくりと歩み寄る穏やかなもの、これは恐らく―――
「パトリック様。今日はよくお会い致しますな」
先に会った時とは違う道具籠を提げた、にこやかに笑うモルトが目に入る。
そうだったな。彼の日常サイクル、今の時刻はここの手入れだ。
「華やかな声が聞こえると思えば、やはりエミリー様ですか」
いつ拝見してもお可愛らしく、元気を頂けますな、そう言って嬉しげにくしゃりと笑う。
「あ、と―――・・失礼ですが、あの方は?パトリック様自ら警備をなさるとは、珍しいですな」
どこかのご令嬢とは見えませんが・・・と、サリーを見る目を細めるモルト。
「あぁ、エミリーの友人だ。一般の者だが・・・。あぁそうだ、モルト。いいかい、驚くな。―――――彼女は、アランの古くからの友人でもあるんだ」
「ええ!?アラン様のご友人様ですか?・・・はあ、あのお方が・・・ですか」
まさか・・・と呟いて目と口を開き固まってしまった。予想通りの反応だ。
あのアランの友人など、驚くのも無理はない。
誰よりもアランのことを知り近い存在である、そう自負する私でさえも彼女のことは知らなかったのだ。
更に今は、羽虫退治の武器と化した“ヘラ”を勇ましくもぶんぶんと振っている最中だ、驚きもひとしおだろう。
あの辺に小さな虫が飛んでいるのか、頼もしい限りだが。
多分、あの飾らないストレートな性格がアランの信用を得ているのだろう。
確かに、裏表はなさそうだ。
「時にモルト、今回は落ち葉の清掃には随分と時をかけたのだな。ここに来る途中、未だ掃き清める使用人がいた。“メインの道ゆえ丁寧に”と、アランからの命があったのかい?」
そう尋ねれば、見開いた目と開いたままだった口を閉じ、こちらを見て怪訝な顔をする。
「いえ、アラン様からは何も命じられておりません・・・しかしおかしいですな、まだおりましたか?使用人には数時間前に切り上げてもらいましたし、弟子たちは貴賓館側の庭の整備をしております。作業する者は誰もいない筈ですが・・・」
例の不審物の辺りと寮近辺にはそれぞれ兵を潜ませてある。
更に木立を囲めば、この城の中に敵の逃げ場はない。
追い詰めるのは時間の問題だろう。指揮はこのままレスターに任せておけば大丈夫だ。
「そう、か。分かった。君は引き続き警護を頼む」
頭を下げ素早く彼女達の元に向かうラウルの背を見送っていると、再び近付く人の気配がした。
今度はゆっくりと歩み寄る穏やかなもの、これは恐らく―――
「パトリック様。今日はよくお会い致しますな」
先に会った時とは違う道具籠を提げた、にこやかに笑うモルトが目に入る。
そうだったな。彼の日常サイクル、今の時刻はここの手入れだ。
「華やかな声が聞こえると思えば、やはりエミリー様ですか」
いつ拝見してもお可愛らしく、元気を頂けますな、そう言って嬉しげにくしゃりと笑う。
「あ、と―――・・失礼ですが、あの方は?パトリック様自ら警備をなさるとは、珍しいですな」
どこかのご令嬢とは見えませんが・・・と、サリーを見る目を細めるモルト。
「あぁ、エミリーの友人だ。一般の者だが・・・。あぁそうだ、モルト。いいかい、驚くな。―――――彼女は、アランの古くからの友人でもあるんだ」
「ええ!?アラン様のご友人様ですか?・・・はあ、あのお方が・・・ですか」
まさか・・・と呟いて目と口を開き固まってしまった。予想通りの反応だ。
あのアランの友人など、驚くのも無理はない。
誰よりもアランのことを知り近い存在である、そう自負する私でさえも彼女のことは知らなかったのだ。
更に今は、羽虫退治の武器と化した“ヘラ”を勇ましくもぶんぶんと振っている最中だ、驚きもひとしおだろう。
あの辺に小さな虫が飛んでいるのか、頼もしい限りだが。
多分、あの飾らないストレートな性格がアランの信用を得ているのだろう。
確かに、裏表はなさそうだ。
「時にモルト、今回は落ち葉の清掃には随分と時をかけたのだな。ここに来る途中、未だ掃き清める使用人がいた。“メインの道ゆえ丁寧に”と、アランからの命があったのかい?」
そう尋ねれば、見開いた目と開いたままだった口を閉じ、こちらを見て怪訝な顔をする。
「いえ、アラン様からは何も命じられておりません・・・しかしおかしいですな、まだおりましたか?使用人には数時間前に切り上げてもらいましたし、弟子たちは貴賓館側の庭の整備をしております。作業する者は誰もいない筈ですが・・・」


