シャクジの森で〜番外編〜

「つ・・疲れてなどいません。少し驚いただけですから・・・。大体貴女は、ちょっとしたことで謝り過ぎです」


ほら掴まりなよ、と差し出されたサリーの手を避け、何やらブツブツ言いながら立ち上がりズボンをパタパタと叩くリード。

手にした包みを眺め、一瞬の戸惑いのあとにずいっとエミリーの前に差し出した。

「―――どうぞ」とムスッとした表情でぶっきらぼうに言う。


やはり、贈り物だったか。

私の面前で王子妃たる彼女に手渡そうとするとは、かなりのいい度胸だ。

先程は怯えていたというのに・・・。

いや、包みが小刻みに震えているところを見れば、彼女を前にして精一杯の虚勢を張ってるというところか?



「・・えっと、リードさん、これは?」

「中身は見れば分かります。言っておきますが。別に、わざわざ探したわけじゃなく、たまたま見つけただけですから」

「まぁ、うれしいわ。なにかしら―――リードさん、ありがとうございます」



言葉と共にふわりと髪が揺れ、上質な石鹸の香りが漂ってくる。

こちらからは見えないが、嬉しげに両てのひらを合わせ可愛い笑顔を向けているのだろう。

ムスッとした顔を作るリードの肌が、じわじわと赤くなっていく。


このまま直に受け取らせてあげたい気持が少しはあるが、こればかりは、譲れないな―――


背後から腕をまわし、包みに向かって行くか細い腕をやんわりと制する。


・・君は、直接受け取る身分ではないだろう?



「―――ダメだよ、エミリー」



耳元に囁きかける声が、つい甘く低いものになる。

そうすれば君は、驚きか甘くなった囁きの影響か、ぴくんと身体を震わせこちらを振り返り見た。

上目遣いに見上げてくるアメジストの瞳には、戸惑いと小さな疑問符が浮かんでいる。



「あ・・でも、パトリックさん?リードさんはわたしの友達ですもの、サリーさんと同じだわ。だから、かまわないのでしょう?」



まったく知らないお方とは違うわ、と訴えてくる。



「それでも、ダメなんだ。分からないかい?・・・あぁ、リード。君はそれをウォルターに渡してくれないか」



再び、どうして?と問いかけてくる瞳に微笑みを向ける。

・・・君の中でリードは友人であり、信用できるんだろうが・・・許しを得ているサリーとは状態が違う。

これは、どう説明したものか―――

全く、アランもややこしいことをしてくれたものだ・・・。