シャクジの森で〜番外編〜

「まぁ、それは?見つけたって・・素敵なものなの?」


あぁこれだ、やっと見つけた、とぼそりと呟きながら底の方にある物を取り出そうとするリード。


何を見せてくださるの?と更に近付くエミリー。

珍しいものかい?と、サリーも同様に興味深げに覗き込んでいる。



―――これは少し不味いかな。

リードの言葉に誘われ興味をひかれるのは分かるが、エミリー、少し、近付き過ぎじゃないのか?

こんな時のアランの行動が容易に想像出来る。

彼ならば、今の時点で有無も言わせず柔らかな身体を抱き寄せ、リードから引き剥がすのだろう。

だが、私は―――


静かに近寄り、彼女の後ろにぴたりと添い素早く対応出来るように構え、ついでに威厳も放っておく。

エミリーの柔らかな気に紛れてしまい、どうも、彼には私の警戒の気は届いていないようだ。



「ほら・・・これです・・・。以前貴女が言っ――――っ!!??」

「え・・わたしなの?なにかしら」



中から紫色の小さな包みを取り出し上を向いたリードが、ピタ、と動きを止めた。

荷物を挟み見つめ合う二人の距離は、てのひら二つ分と言ったところか。



「あ・・・」

「リードさん?」

「ねぇアンタ、どうしたんだい?」



絶句して固まるリードを心配げに眺めている二人の顔を交互に見、みるみる赤く染まっていく頬を見るなとばかりに手の甲で隠し、彼は思いきり仰け反った。



「あ・・・な、な、何でもありませんからっ」



さらに背後にいる私を捉えると体をびくっと震わせて短い叫び声を上げ、ザザッと後退りをした勢いが余り足がもつれ、どすんと尻もちをついた。

赤かった肌は一息に青ざめていき、どうやら冷や汗も出てきたよう。



「な、何ですかっ貴方様は音もなくっ」



と。

今の私を見て震えながらも声が出せるとは、やはり只者ではない、のか?

いや、あまりにも包み探しに夢中になり今更に私の存在に気付いた、ある意味鈍感とも言えるのか・・。


何れにしろ、こんな態度をとるのは、この国広しといえど“彼のみ”だ。

表情や視線から感じ取れるのは、エミリーに焦がれてること。

もしも、何かのきっかけで開き直れば、いつにどんな行動をとるのか予測がつかない。


そう。

これが彼を警戒するに足る理由のうちの、一つだ。



「ねぇアンタ、大丈夫かい?顔色悪いよ。立てるかい?」

「リードさん、やっぱり疲れているのね。ごめんなさいひき止めてしまって・・・大丈夫ですか?」