シャクジの森で〜番外編〜

地に置かれた大きな紙袋は彼女の言う通りパンパンに膨らみ、見た目にも結構な重さだと思えるが・・・。


「なんだい、さっきは疲れてフラフラしてたのにねぇ・・へぇ、そういうことかい。アラン王子も大変だねぇ」



二人の会話を聞いたサリーがそう小声で呟くのを耳にし、思わず苦笑を漏らす。

私の知らないアランを知っているサリー。

彼女の瞳には、リードはどんな風に映っているんだろうか。



「お使いってフランクさんのなの?なにを買ってきたのですか?」



瞳を煌めかせながら彼に近づいたエミリーは、地面に置かれた袋の中を興味深げに見て「あら?これは何ですか?」と訊ねている。


その様子を見、シリウスが音もなくスススと動きリードに近付いて行く。

恐らくいつもの対応なのだろうが、とりあえず今は―――


す・・と腕を上げて見せ、制しておく。


“君は周りに気を配れ”と、視線で命じるとゆっくりと頷き、鋭い瞳をリードから外して周囲に向け始めた。


今は、彼よりも侵入者への警戒の方が大切だ。

それに、今の私は、十分すぎるほどの警戒の気を彼に向けている。

しかも隣にはサリーもいるんだ、普通ならば何も問題は起こせないだろう。


それなのに、だ。

彼女を見るリードの瞳が、すぅ・・と細まり、徐々に甘い色を成していくのがどうにも気になる。

まさか、彼女以外目に入ってない、ということはないと思うが――――



「全く、何ですか・・・本当に貴女は何にでも興味を示すんですね、余程暇なんですか。仕方がない・・・」



ため息をつき、私は貴方と違って忙しいんですがねと、嫌嫌といった風情で屈みこんだ彼は、自分のしてきたことを説明しながらガサゴソと袋の中をさばき始めた。

忙しいならば購入物など言葉だけで簡潔に伝えればいいと思うのだが、この何かをひたすらに探す風情は――――・・・。

ふむ・・・彼は、一体何を取り出すつもりだ?


共に紙袋を覗き込むエミリーは話に相槌を打ち「たくさん包みがあるのね、全部医療用のものなの?」と訊くその声には、ワクワクとした楽しげな色が含まれている。

こういうところは、買い物好きな普通の女性と何ら変わりなく、愛らしい。


仕方がないな・・・暫くこのまま見守るとしよう。

恐らく、この先も滅多にないことだろうから。

私が気を付けていればいいことだ。



「これは、修理に出してたものを引き取って来たんです・・買ったものは頼まれた物と自分の物と・・・あぁそれとこれ。これを見つけたんです」