「ウォルター、塔の警備を強化してくれ。それから、国王への報告も頼む」
「はい。今すぐに」
「―――あぁそれから。くれぐれも、王子妃には内密にしてくれ。余計な不安を抱かせたくない」
踵を返し足早に歩いていく背中に声を掛ければ、彼はくるりと振り返り胸に手を当てて見せた。
「勿論心得ています。今は親しき友人とのひと時をお楽しみなのです。邪魔はしたくありません」
・・・友人・・・サリーか。
“確かに持っていたと言い張り―――”
入城許可証の発行を始めたのは、つい先頃のことだ。
以前は、氏名住所と用向きを門にて記載すれば入ることが出来た。
まぁそれでも、誰でも入れる、ということは無かったのだが。
確認する必要があるが、さて、どうするか・・・。
今この時、城全体―――
特に、アランの塔は彼女特有の柔らかなオーラで満たされ警備兵たちの気も緩みがちだ。
ジェフの団がいない為に兵が手薄なのも痛い。
果たしてどこまで強化出来るのかが案じられるが、我が優秀な部下の手腕を信じよう。
「レスターを呼んでくれ。今すぐだ」
扉の外に向かい声を掛け、城庭の様子に目を配る。
城門へと続く道、王の塔側の庭、貴賓館、薔薇園の方角。
作業をする庭師、荷を運ぶ使用人、見回りをする兵。
休憩時間なのか、連れ立って薔薇園へと向かって行くメイド達の姿も見える。
目に映る範囲にはどこにも不審な動きをする者は見えず、皆仕事にいそしみ別段変わった様子はない。
「長官殿―――っ・・・お呼びで御座いましょうか」
入室してきたレスターが顔を歪めふらりと一歩退くも踏みとどまり、しっかりと背筋を伸ばし緊張感を持った声を出した。
私の放つ気を受け不測の事態が起きたと瞬時に理解したのだろう、彼のそれも一息に強まり表情も引き締まった。
「何者かが侵入した可能性がある。今日、今までに入城した者の人数と性別を調べ、所在を確認して欲しい。それと、少しでも不審に思った入城者はいないか、もだ」
返事をする間もなく、レスターは身を翻して出ていった。
あとは王の塔の警備だが、あちらは国王付の精鋭が変わりなく守り、客人、シンディの警備も完璧だ。
まず、案ずることはない。
エミリーを部屋に招き、ここで直接守ればそれが一番良いのだが、今日ばかりはそうもいかないのが歯がゆく思える。
三度ノック音が響き入室を許せば、訪ねて来たのは国王付の兵だった。
きびきびとした歩調で歩み寄り国王様よりのお言葉ですと事務的に残して行ったのは、予想通りのもので―――
『我らは良い。そなたは王子妃の警備だけに集中せよ。妹君の心配は無用じゃ。そなた自身は、身の心配は必要じゃがの。故に、しっかりと、な』
―――無論、心得ております。お任せ下さい、国王―――
アラン・・・君が戻るまでに、必ず解決してみせるよ。
何も、かも。
「はい。今すぐに」
「―――あぁそれから。くれぐれも、王子妃には内密にしてくれ。余計な不安を抱かせたくない」
踵を返し足早に歩いていく背中に声を掛ければ、彼はくるりと振り返り胸に手を当てて見せた。
「勿論心得ています。今は親しき友人とのひと時をお楽しみなのです。邪魔はしたくありません」
・・・友人・・・サリーか。
“確かに持っていたと言い張り―――”
入城許可証の発行を始めたのは、つい先頃のことだ。
以前は、氏名住所と用向きを門にて記載すれば入ることが出来た。
まぁそれでも、誰でも入れる、ということは無かったのだが。
確認する必要があるが、さて、どうするか・・・。
今この時、城全体―――
特に、アランの塔は彼女特有の柔らかなオーラで満たされ警備兵たちの気も緩みがちだ。
ジェフの団がいない為に兵が手薄なのも痛い。
果たしてどこまで強化出来るのかが案じられるが、我が優秀な部下の手腕を信じよう。
「レスターを呼んでくれ。今すぐだ」
扉の外に向かい声を掛け、城庭の様子に目を配る。
城門へと続く道、王の塔側の庭、貴賓館、薔薇園の方角。
作業をする庭師、荷を運ぶ使用人、見回りをする兵。
休憩時間なのか、連れ立って薔薇園へと向かって行くメイド達の姿も見える。
目に映る範囲にはどこにも不審な動きをする者は見えず、皆仕事にいそしみ別段変わった様子はない。
「長官殿―――っ・・・お呼びで御座いましょうか」
入室してきたレスターが顔を歪めふらりと一歩退くも踏みとどまり、しっかりと背筋を伸ばし緊張感を持った声を出した。
私の放つ気を受け不測の事態が起きたと瞬時に理解したのだろう、彼のそれも一息に強まり表情も引き締まった。
「何者かが侵入した可能性がある。今日、今までに入城した者の人数と性別を調べ、所在を確認して欲しい。それと、少しでも不審に思った入城者はいないか、もだ」
返事をする間もなく、レスターは身を翻して出ていった。
あとは王の塔の警備だが、あちらは国王付の精鋭が変わりなく守り、客人、シンディの警備も完璧だ。
まず、案ずることはない。
エミリーを部屋に招き、ここで直接守ればそれが一番良いのだが、今日ばかりはそうもいかないのが歯がゆく思える。
三度ノック音が響き入室を許せば、訪ねて来たのは国王付の兵だった。
きびきびとした歩調で歩み寄り国王様よりのお言葉ですと事務的に残して行ったのは、予想通りのもので―――
『我らは良い。そなたは王子妃の警備だけに集中せよ。妹君の心配は無用じゃ。そなた自身は、身の心配は必要じゃがの。故に、しっかりと、な』
―――無論、心得ております。お任せ下さい、国王―――
アラン・・・君が戻るまでに、必ず解決してみせるよ。
何も、かも。


