「御呼びと伺いましたが、何か御座いましたか」
急ぎ来たウォルターは、私が言葉を発する間も無く部屋に入るなり例の鞄に目を止めて訝しげな顔付きになった。
机の上のそれと私の顔を交互に見る。
「・・・それは何でしょう?」
「拾得物だ。意見を聞かせてくれ―――・・・君は、これをどう思う?」
中身が見えるよう、蓋として意味を成す部分をぴらっと開いて見せる。
と。
眉を寄せつつじっくりと見、触っても良いですかと聞いてきた。
油断なくギラリと光らせこちらを見る瞳に、頼むよと言って場をあけ渡すと、鞄を持ち上げ慎重に中身を取り出し始める。
地味めの色合いの物一つ一つが机の上にきっちりと並べられていく。
くるくると丁寧に丸められている布の塊。
その内の一つをぴらりと広げ、彼はしげしげと眺めた。
「これはどう見ましても衣類ですね」
ただの、衣類。
一見何も危険が無いように思える物。
「―――何故、これがあったと思う。届けてきたモルトの話によれば、木立の中に置いてあったそうだ。それも、隠すように」
「そうですね。考えられることは様々にありますが。最悪の事態を申し上げれば“侵入者がいる”という事でしょう。一人・・若しくは、二人」
ふむ。成程、中に詰まっていた衣類の数を見れば、複数の可能性も否めないか。
―――――と、すれば・・・。
ウォルターは中にある幾つかのポケットを探り、他に何か無いかと持ち手までもを握ったり擦ったりして探ったが、衣類の他は何も見つからないようで無言のまま鞄を机の上に置いた。
それを凝視するその体からは、あの日市場通りで彼女が人質になった際に出していた気と同等のものを放っている。
「手がかりはこの衣類のみ、か」
アラン不在の今にこんなことが起きるとは。
・・・というよりも、この時を狙っていたと考えるのが妥当か。
予言の書を盗まれた時のことが思い出される。
あの時侵入されたのは、夜だった。
しかも、雇い主はルーベンの王子だったという、終わってみれば何ともおかしな話だったが、あれと同じ賊だとは考え難い。
その笑い話にも成り得る窃盗事件の後に起こったあのサルマン事件を思い返せば、ざわざわと肌が泡立ち、ふつふつと気が昂り始める。
侵入者の狙いはやはり彼女なのか。
アランがいないとはいえ、随分と舐められたものだな。
この、私が。
急ぎ来たウォルターは、私が言葉を発する間も無く部屋に入るなり例の鞄に目を止めて訝しげな顔付きになった。
机の上のそれと私の顔を交互に見る。
「・・・それは何でしょう?」
「拾得物だ。意見を聞かせてくれ―――・・・君は、これをどう思う?」
中身が見えるよう、蓋として意味を成す部分をぴらっと開いて見せる。
と。
眉を寄せつつじっくりと見、触っても良いですかと聞いてきた。
油断なくギラリと光らせこちらを見る瞳に、頼むよと言って場をあけ渡すと、鞄を持ち上げ慎重に中身を取り出し始める。
地味めの色合いの物一つ一つが机の上にきっちりと並べられていく。
くるくると丁寧に丸められている布の塊。
その内の一つをぴらりと広げ、彼はしげしげと眺めた。
「これはどう見ましても衣類ですね」
ただの、衣類。
一見何も危険が無いように思える物。
「―――何故、これがあったと思う。届けてきたモルトの話によれば、木立の中に置いてあったそうだ。それも、隠すように」
「そうですね。考えられることは様々にありますが。最悪の事態を申し上げれば“侵入者がいる”という事でしょう。一人・・若しくは、二人」
ふむ。成程、中に詰まっていた衣類の数を見れば、複数の可能性も否めないか。
―――――と、すれば・・・。
ウォルターは中にある幾つかのポケットを探り、他に何か無いかと持ち手までもを握ったり擦ったりして探ったが、衣類の他は何も見つからないようで無言のまま鞄を机の上に置いた。
それを凝視するその体からは、あの日市場通りで彼女が人質になった際に出していた気と同等のものを放っている。
「手がかりはこの衣類のみ、か」
アラン不在の今にこんなことが起きるとは。
・・・というよりも、この時を狙っていたと考えるのが妥当か。
予言の書を盗まれた時のことが思い出される。
あの時侵入されたのは、夜だった。
しかも、雇い主はルーベンの王子だったという、終わってみれば何ともおかしな話だったが、あれと同じ賊だとは考え難い。
その笑い話にも成り得る窃盗事件の後に起こったあのサルマン事件を思い返せば、ざわざわと肌が泡立ち、ふつふつと気が昂り始める。
侵入者の狙いはやはり彼女なのか。
アランがいないとはいえ、随分と舐められたものだな。
この、私が。


