「あぁ、モルト。随分久しいな。落葉の清掃御苦労様。最近、調子はどうだい?」
腰のあたりを指し示すと、庭師道具の入った籠を降ろし、腰を摩りながら恥ずかしげにくしゃりと笑った。
「その節は大変ご心配をお掛けしました。万全とは言えませんが、ほれ、この通り仕事に差し障りはありません」
「それは良かった。だが、無理はしないでくれ。君が倒れると困る者が沢山いる。それに―――――彼女も、心配する」
ツィ・・とアランの塔を指し示すと、モルトの表情が更にくしゃっと崩れ、あぁそうですな、と言って頭を掻いた。
「・・・で、何だ?何か私に用事があるのだろう?」
「おぉ、そうでした・・・実は、このような物を見つけましたので――――」
よいしょ・・と腰を屈め、道具籠の中から取り出したのは薄茶色の肩掛け鞄だった。
あちこち擦れて使いこまれた風のそれを受け取れば、中身はぎっしりと詰まっているようで見た目よりも結構重い。
「―――不審物として警備方まで届けようとしていたのですが、貴方様のお姿を見つけましたので、これ幸いと声をお掛けしました」
持った印象、薄い布地から伝わり来る情報は、中には柔らかな物が詰まってるといったところだ。
危険なものは入ってる様子はない。
見たところも、普通の鞄のようだ。
が・・・不審物、か。
「――――これは、どこに?」
目を上げて尋ねれば、彼は節くれ立った指を城門の方角へ向けた。
「あちらの―――・・寮のある木立の中です」
城門よりも、かなり奥まった場所にあったということか・・・普通、このような大きな物を落として気付かぬ者はいない筈だ。
置いてあったと考えるのが妥当だろう。
「それで、落し物にしては、妙なことでして―――こんな具合で・・・きっちりと木の根元に置かれていました」
言いながら、庭師道具の一つを籠にもたれさせる様に置いて見せ、しかも、隠すように落ち葉が被せられていたと言う。
「・・・君は、これの中身を見たかい?」
「いいえ、中までは見ていません」
何だか怖ろしくて、と言って苦笑いをする。
城で働く者たちは皆専用の荷物置き場を持っている。
新人でさえも入った即日に与えられるようにしてあるのだ。
来城者であれば、基本的に荷物を持ち歩くだろう。
ましてや入寮者ならば部屋に置くのが常識だ、わざわざ外に持ち出し隠すなど有り得ない。
確かに、不気味ではあるな。
「・・・分かった。あとはこちらで調べるよ」
宜しくお願いしますと、頭を下げるモルトに御苦労様と労いの言葉を残して長官室へと急ぐ。
嫌な予感が頭の中を支配する。
まさかとは思うが――――
長官室の扉横に立つ兵に声をかけた。
「ウォルターを呼んでくれ」
腰のあたりを指し示すと、庭師道具の入った籠を降ろし、腰を摩りながら恥ずかしげにくしゃりと笑った。
「その節は大変ご心配をお掛けしました。万全とは言えませんが、ほれ、この通り仕事に差し障りはありません」
「それは良かった。だが、無理はしないでくれ。君が倒れると困る者が沢山いる。それに―――――彼女も、心配する」
ツィ・・とアランの塔を指し示すと、モルトの表情が更にくしゃっと崩れ、あぁそうですな、と言って頭を掻いた。
「・・・で、何だ?何か私に用事があるのだろう?」
「おぉ、そうでした・・・実は、このような物を見つけましたので――――」
よいしょ・・と腰を屈め、道具籠の中から取り出したのは薄茶色の肩掛け鞄だった。
あちこち擦れて使いこまれた風のそれを受け取れば、中身はぎっしりと詰まっているようで見た目よりも結構重い。
「―――不審物として警備方まで届けようとしていたのですが、貴方様のお姿を見つけましたので、これ幸いと声をお掛けしました」
持った印象、薄い布地から伝わり来る情報は、中には柔らかな物が詰まってるといったところだ。
危険なものは入ってる様子はない。
見たところも、普通の鞄のようだ。
が・・・不審物、か。
「――――これは、どこに?」
目を上げて尋ねれば、彼は節くれ立った指を城門の方角へ向けた。
「あちらの―――・・寮のある木立の中です」
城門よりも、かなり奥まった場所にあったということか・・・普通、このような大きな物を落として気付かぬ者はいない筈だ。
置いてあったと考えるのが妥当だろう。
「それで、落し物にしては、妙なことでして―――こんな具合で・・・きっちりと木の根元に置かれていました」
言いながら、庭師道具の一つを籠にもたれさせる様に置いて見せ、しかも、隠すように落ち葉が被せられていたと言う。
「・・・君は、これの中身を見たかい?」
「いいえ、中までは見ていません」
何だか怖ろしくて、と言って苦笑いをする。
城で働く者たちは皆専用の荷物置き場を持っている。
新人でさえも入った即日に与えられるようにしてあるのだ。
来城者であれば、基本的に荷物を持ち歩くだろう。
ましてや入寮者ならば部屋に置くのが常識だ、わざわざ外に持ち出し隠すなど有り得ない。
確かに、不気味ではあるな。
「・・・分かった。あとはこちらで調べるよ」
宜しくお願いしますと、頭を下げるモルトに御苦労様と労いの言葉を残して長官室へと急ぐ。
嫌な予感が頭の中を支配する。
まさかとは思うが――――
長官室の扉横に立つ兵に声をかけた。
「ウォルターを呼んでくれ」


