「・・・アランの塔に入るには、入塔許可証が要る筈だが、君は今、持ってるかい?」
「え、入塔許可証?って・・・」
思い当たるのだろう、急いでガサゴソと袋の中をさばき、薄紫のカードを取りだした。
手に取って見れば、アランのサインがしっかりと書かれている。
どう見ても、本物だ。
「これだけは、絶対に忘れないようにって、手紙に書かれてたんだよ」
後ろで成り行きを見守っているレスターにカードを渡し、確認させた。
暫く薄紫のカードを眺めた後、彼は大きく頷いて見せる。
「・・・確かに、アラン様の筆跡で御座います」
「では、この者を城に入れても問題無いな?」
「勿論で御座います。どうぞ―――」
何が起こったかわからない様子な彼女の細い肩を引寄せ、手荷物を奪い、城門を潜りそのまま抱き上げて馬に乗せた。
彼女の瞳がどんどん見開いていき、漸く戸惑いの声を出す。
「ちょ・・ちょっと、アンタ、待ってくれよ。私・・お嬢様じゃないんだから。馬なんて乗ったこと無いよ。困るよ」
「しー黙って。いいかい?大丈夫だ、決して落としたりしない」
「でも、それにしたって、怖いよ」
「――っと、危ないから動かない方がいい」
声を掛けながら、今にも降りてしまいそうな身体をしっかりと支えつつ自らも乗り込む。
「アランの塔までは遠いんだ。お詫びとして、私が、送っていきたいんだよ」
これ以上騒ぎを起こさせない、というのも本音にはあるが。
「嫌だよ、そんなのは良いよ。歩くから大丈夫だよ!」
後半は叫び、じたばたと動く身体をしっかりと抱え、馬を動かした。
普通は、言葉に甘えるものだと思うが。
全く、面白いお嬢さんだ――――
「騒ぐと、却って目立つ。大人しくした方がいいと思うが?」
耳元で囁けば、頬を染めて俯き、漸く大人しくなってくれた。
それでいい。あぁ、そういえば。
「今日が休みということは、水曜日が定休なのかい?」
「特に休みの日は決まってないんだよ。今日は王子妃様の都合に合わせて臨時休業にしたのさ。スミフに頼んで営業しても、追加のケーキは焼けないからねぇ」
「そうか・・・」
―――ならば、侍女に無駄足をさせたな。明日になるか・・・仕方無いな―――
アランの塔まで着き、玄関前の警備兵に彼女の身を託し手荷物を返した。
「この方はサリー嬢だ。入塔許可証はお持ちだ。アランから聞いているだろう?」
「はい、確かに。エミリー様がお待ちで御座います。どうぞ、お入りください」
警備兵から入塔許可証を受け取り、くるりと振り向いた彼女が丁寧に頭を下げる。
「ありがとう。私、アンタには助けて貰ってばかりだね」
「良いんだ。楽しんでくるといい」
ありがとう!と言って塔に消えていく背中を見送り、ホッと安堵しつつポケットに手を入れた。
今日は女性に触れる機会が多いな・・・。
指先に当たる、カサリとした感触に廊下での出来事を思い出す。
あぁ・・そうだ。
これの謎を解かねばならんな―――
「え、入塔許可証?って・・・」
思い当たるのだろう、急いでガサゴソと袋の中をさばき、薄紫のカードを取りだした。
手に取って見れば、アランのサインがしっかりと書かれている。
どう見ても、本物だ。
「これだけは、絶対に忘れないようにって、手紙に書かれてたんだよ」
後ろで成り行きを見守っているレスターにカードを渡し、確認させた。
暫く薄紫のカードを眺めた後、彼は大きく頷いて見せる。
「・・・確かに、アラン様の筆跡で御座います」
「では、この者を城に入れても問題無いな?」
「勿論で御座います。どうぞ―――」
何が起こったかわからない様子な彼女の細い肩を引寄せ、手荷物を奪い、城門を潜りそのまま抱き上げて馬に乗せた。
彼女の瞳がどんどん見開いていき、漸く戸惑いの声を出す。
「ちょ・・ちょっと、アンタ、待ってくれよ。私・・お嬢様じゃないんだから。馬なんて乗ったこと無いよ。困るよ」
「しー黙って。いいかい?大丈夫だ、決して落としたりしない」
「でも、それにしたって、怖いよ」
「――っと、危ないから動かない方がいい」
声を掛けながら、今にも降りてしまいそうな身体をしっかりと支えつつ自らも乗り込む。
「アランの塔までは遠いんだ。お詫びとして、私が、送っていきたいんだよ」
これ以上騒ぎを起こさせない、というのも本音にはあるが。
「嫌だよ、そんなのは良いよ。歩くから大丈夫だよ!」
後半は叫び、じたばたと動く身体をしっかりと抱え、馬を動かした。
普通は、言葉に甘えるものだと思うが。
全く、面白いお嬢さんだ――――
「騒ぐと、却って目立つ。大人しくした方がいいと思うが?」
耳元で囁けば、頬を染めて俯き、漸く大人しくなってくれた。
それでいい。あぁ、そういえば。
「今日が休みということは、水曜日が定休なのかい?」
「特に休みの日は決まってないんだよ。今日は王子妃様の都合に合わせて臨時休業にしたのさ。スミフに頼んで営業しても、追加のケーキは焼けないからねぇ」
「そうか・・・」
―――ならば、侍女に無駄足をさせたな。明日になるか・・・仕方無いな―――
アランの塔まで着き、玄関前の警備兵に彼女の身を託し手荷物を返した。
「この方はサリー嬢だ。入塔許可証はお持ちだ。アランから聞いているだろう?」
「はい、確かに。エミリー様がお待ちで御座います。どうぞ、お入りください」
警備兵から入塔許可証を受け取り、くるりと振り向いた彼女が丁寧に頭を下げる。
「ありがとう。私、アンタには助けて貰ってばかりだね」
「良いんだ。楽しんでくるといい」
ありがとう!と言って塔に消えていく背中を見送り、ホッと安堵しつつポケットに手を入れた。
今日は女性に触れる機会が多いな・・・。
指先に当たる、カサリとした感触に廊下での出来事を思い出す。
あぁ・・そうだ。
これの謎を解かねばならんな―――


