シャクジの森で〜番外編〜

城門が近づくにつれ、騒ぎの様子がはっきりとし出し、真ん中辺りに細身の女性が警備兵に囲まれているのが見えた。

見たところ、今は、暴れることなく大人しくしているようだな。



「だからぁ、さっきから頼んでるじゃないか。ね?確認して来てくれれば、ホントだってわかるからさ」



―――忘れもしないこの声に言葉遣い。

やはり、あの者だ。

美しいというのにぞんざいな態度・・・。

また再び会うことがあるとは、思ってなかったな――――



馬を降り、警備兵に手綱を預け、あの日と同じ様に瞳を見開く彼女に近づいた。



「お嬢さん、警備兵が失礼をしたね。今日は、何をしにここに来たんだい?」



柔らかく問いかければ、険しかった彼女の表情から堅さが抜けていく。

訴えかけるような強い瞳が向けられ、言葉を探すように唇がふるふると動いた。

それはどこか不安げにも見える。

もしや、忘れられたと思ってるのか?



「―――久しぶりだね、サリー。君のことは覚えている。遠慮しないで、さぁ、話してくれないか」



どうにも声が出ない様子に再度言葉を掛けると、思った通り、安心したように息を吐き肩の力を抜いた。



「あ・・・あの、王子妃様のところに用事があって・・・“会いましょう”って手紙を貰ったんです。今日はお店が休みで、約束の日で。あぁ、ほら、コレ。あの方に渡したいものと、教えたいものと、あるんです。けど、私、城に入る許可証をなくしちゃったみたいなんだ。確か、持ってきたはずなのに。探してもどこにも無いんです」



頬を染めつつ空色の袋を差し出し身ぶりも交え、ぎこちないながらも懸命に話をしてくれる。


申し立ては分かるが。



「ふむ。君は、この兵たちに、それを証明しなければならないんだよ。分かるね?」

「あ・・だから、王子妃様に聞いてもらえると良いと思って・・・けど、この人達が全然聞いてくれなくて―――」



そう言いながら、物言いたげにジロリと警備兵たちを睨む。

獣さえも怯む屈強な男たち相手に、よくもそんな態度がとれるものだ。

全く、気が強いお嬢さんだな。



「すまないね。だが、王子妃に関わることとなれば慎重にせねばならない。君には失礼だったが、兵たちの対応は間違ってはいないんだ。許してくれるかい?」


「でも―――ぁ・・元はと言えば、なくした私が悪いんだけどさ」


もう少し優しくしてくれれば私だって・・。あぁ、でももう、今日は帰るしかないのかねぇ・・と、ぶつぶつ呟きしゅんとして俯いた。



そう、だな・・

許可証ならば、私でも代行で出せないことはないが―――