シャクジの森で〜番外編〜

私がいけないのだろうな、やはり・・・。

今、何が起こったのか。

それは―――



静かだった部屋に、様々な音と三種三様の声が響き渡った。


彼は、私が来ていたことを知らなかったのだろうか・・それほどに静かだったのか。


いきなり視界に入った私に驚いたリードは、びくんと体を揺らし叫び声を上げて仰け反り両手をバタバタとさせた。

消毒瓶の液を撒き散らした揚句に、手を滑らせて投げ落としてしまう。


更に仰け反りすぎていたために体を制御できず、椅子から落ちて尻もちをついてしまっていた。

落ちる寸前にワゴンに助けを求めた為に、それも一緒に倒れ―――


その派手な音と叫び声に驚き叫んだメイドも椅子から落ちそうになったので、私は咄嗟に抱き止めて支えた。



ほんの数秒のうちに起きた出来事の筈だが、数分にも感じられるのは何故だろうか。

今、私の腕の中にはメイドの細い身体が収まっている。


今の状態は、ここだ―――




「すまない。そんなつもりはなかったんだが――――君、平気か?」


二度も叫び声を上げて倒れ、尻もちをついたままで呆けた状態のリードに声をかけると、ハッと我に帰った様子で急いで立ち上がりズボンをパタパタと叩いた。

良かった、頭は打っていないようだ。



「あ・・だい・・いえ、どうぞ気になさらずに――――あーぁ、片付けないと・・」



恨めしげに呟いてため息をつくリードに対し、心の中で謝罪する。


倒れたワゴンにあちこちに散乱した治療器具と瓶の破片、それに消毒液が広範囲に飛び散っている。



確かに、これは酷い状態だ・・・。



腕の中の彼女も余程驚いたのだろう、ガタガタと震えて息も荒い。

背中をポンポンと叩いて宥め落ち着かせながらふと思う。


―――今日はこれで二人目だな。

しかも、原因はすべて私だ―――


落ち着いたところを見計らい、きちんと椅子に座らせて目を合わせ、大丈夫かい?と再度問いかけた。



「あぁそんな・・ウソみたい―――貴方様は」