2010年7月。

同じ道を使い、同じ電車に乗って通うことにようやく慣れ始めた学校の前に向かって歩いて行く。

あたしの隣には友人、小松 雪華(こまつ ゆきか)が歩いている。

天然自然系の名前を持つ彼女は、出席番号が近いというだけで、入学式の日に仲良くなった。

彼女とは、今日から始まる宿泊行事の班が同じだった。2泊3日の間、班長を務める彼女は今、あたしより少し前を歩いていた。

行動班、生活班共に班長を務めると聞いただけではしっかりした秀才といった響きだが、彼女の成績は英語と数学が壊滅的であり、自称理系なのだが、数学が全くと言って良いほど出来ないため、実際のところは不明であった。