彼は、私をベッドに押し倒して見下ろす。
「…………………本気で言ってんのか?」
彼が大好き。
彼と結婚したい。
こんな人と結婚して、一生一緒に歩んでいきたいとさえ思う。
でも彼は、私が好きで結婚したいんじゃない。
数年前の出来事を、自分の責任だと決め付けて、自分自身を傷みつけている。
自分で、深くエグい傷を作っている。
「二十歳だよ?
もう五年も無いよ…」
「長すぎる」
彼は、私があの時の会話を聞いたことを知らない。
知っている人は、誰一人としていない。
「そんなに、早く結婚して、自分で自己満足したいの?」
「はぁ?
何、言ってるんだよ」
私の髪をすくいながら、彼は微笑む。
こんな小さな行動一つでドキドキする私。
でも、いつだって片隅には浮かんでる。
“罪滅ぼし”
という、短く重いその言葉が………。