こんなご時世で、大企業から内定を貰えたのは奇跡。
でも彼は内定を貰った企業に進むこと無く、レスキュー隊員になった。
「お帰り。
でも遅すぎ!!」
「悪い悪い。
先輩とかと話し込んでたら遅くなった」
そうやって、人に好かれるとこも、彼らしい。
「もう、ずっと待ってて風邪引くかと思った」
「なんなら、暖めてやろうか?」
「変態!!」
「誘ったのはそっちだろ?」
別にそんなつもりじゃない!!
その思いを込めて、彼を睨み付ける。
彼は首をすくめて、鼻で笑いながらベランダを飛び越える。
「落ちたら危ないって、昔っから言ってるじゃんか....」
「レスキュー隊員なめんなっつーの」
そして何事も無いように、私の部屋に入って行って、ベッドに座り込む。
私は黙りこくると、彼の傍まで行く。
「どうした?
そんな暗い顔して」