「いや、お母さんッ!」



消防士数人で私を取り押さえる。



けれど、お母さんを助けたい一心の私は、消防士さんの力に負けてない。



「助けるッ!
レスキュー隊員が来る前に、私が助けるのッ!」




私は消防士の腕を振り払い、燃え続けている家に入って行こうとした。




「馬鹿かッ!」




腕を掴まれ我に返ると、防具を着た、彼が私を睨んでいた。




「お前は戻れッ!
傷をまた一つ作る気かッ!!!」




私が怯んだ隙に、2人の消防士さんが私を抱える。




「放して、離して」



「大丈夫だ。彼がきっと助けてくれる」




私はテープよりも向こうに連れて行かれて、消防士さんに腕を捕まれている。




「お母さん、お母さん…」




泣いて喚くしか無い私。

そんな私に、消防士さんは背中をさすってくれていた。




祈りながら目を瞑っていると、消防士さんや野次馬が声を上げた。




「お母さん…ッ!!」