誰かイイ人を見つめられたら、私はその人との幸せを願うから。
彼の幼なじみとして、結婚式にも出席して、挨拶するから……。
その日までは、
好きでいさせてください。
見返りなんて、求めないから。
もう、私の『好き』に対して『同じ』と応えてくれなくていいから。
“好き”も“愛してる”も求めない。
机の引き出しに閉まった婚姻届。
私は涙ぐみながら、半分に破いた。
まるで、
今の私と彼みたいに。
「さいなら」
婚姻届をゴミ箱に突っ込むと、部屋を出た。
「あら、今日は補習じゃないの?」
「そんなにしょっちゅう、補習なんてやってないの!」
冷蔵庫から麦茶を出して、お母さんの手作りケーキをつまみ食い。
「なんで、ケーキなの?」
「んー?秘密よ、フフッ」
私は首を傾げ、試作品だと思われるケーキを見つめる。
「なんか、を、
今日やるつもりなの?」

