人魚姫

すると、彼の目は開かれました。


「ん…ここ…俺は何を?」


女性の顔がぱぁぁっと晴れ、

「キト様、お目覚めになられましたね!
 ここで倒れておいででしたわ。

 大変心配いたしました…。さぁ、
 お城へ戻るといたしましょう…?」



キトは咳き込みながら

「君が助けてくれたの?」

と申すと。


彼女は、

「はい、僭越ながらそうにございます。
 私は三つ葉の国の妃、ラインと申す
 者です。恐縮ながら___。

 あなたの婚約者として
         ここに参りました。」

微笑を浮かべて、そう仰いました。