人魚姫


「キト様??」

リヨンは首を傾げました。

この国では、名前は神聖なもので、
身分の高い人の名前は決して
公開されることはなかったのです。

「王子の本当の名前だわ、きっと!」

カブユが申します。

「キト様と申されるのね。素敵な名前。」


その女性はなおも声を掛けます。

「キト様、キト様!目を開けられて
 下さいまし……。」