出発まで一晩しかない。
くだらない彫刻たちや
池の魚、愛犬たちとのお別れする時間は
ない。
お母様の寝室から自分の部屋へ戻る時
寄り道をして客間に立ち寄った。
大理石の客間は私を歓迎してくれているような気がした。
客間の端に地図が貼ってあった。
それほど大きくはないが
ブルネイまではだいぶ距離がある。
どうして?と自問自答を繰り返す。
答えは見つからなく時間だけが過ぎる。
そして、もう一つの客間に移動した。
この客間はまず使われることはない。
白を基調としたシンプルな客間は
薔薇の香りを漂わせ居心地がすごく良かった。
ソファーに腰掛け、
入ったことのない部屋はいくつあるのか考えてた。
この客間だって初めて入ったわけで、
きっとこの家には知らない部屋がいくつもあるだろうと思い
最後の晩、私は部屋を全て回る計画を企てた。
もちろん勝手に。
鍵がついてる部屋もあるだろう。
だけど、鍵のある場所はわかっている。
したこともない冒険に
ドキドキしていた。
客間を出ると鍵のある部屋に向った。
不思議な事にメイドも執事も誰1人いない。
いつもは廊下に数人いるはずなのに。
不信感を抱きながらも
鍵のある部屋に到着。
ここは今はいらっしゃらないお父様の書斎。
鍵はいくつかの部屋にあるが
ここの鍵が1番持ち出しやすいとかんがえた

