翌日の朝からは外来の診察を見学。

院長先生自らが担当していた。


「田中さん、調子はどう?」

「ぼちぼちやね」

「ぼちぼちかー。畑は今もやっとるんか?」

「ぼちぼちやっとるよ」

「今は何が採れるんかね?」

「イモができよるよ」

「イモ掘りも大変だろうねぇ?足腰が強くないと…」


果たしてこれは診察なのだろうか?

ただの世間話?

こんなのでいいんだろうか…。


「そういや先生、最近足が痛くてねぇ」

「足?膝?」

「足の先」

「指?ちょっと見せてもらおうか?」


院長先生は確か内科のはずだけど、なぜか足も診る。

大学病院ならソッコー整形外科に回ってもらうけど、ここは“なんでも屋”らしい。


「こりゃ巻き爪になっとるねー」

「ほぉー、まきづめ?」


こんなやりとりを見ていたら、どうも物足りなくなってくる。

こんなの医者じゃなくてもいいじゃん…。

こんなの病院じゃなくていいじゃん?

近所の茶飲み友達でいいじゃん?

オレは何を学びに来たんだろう?