オペ室では淡々と仕事がなされている。


「はいOK、心拍再開」

「バックアップ終了」

「終了しました」


もう手術は終わりに近づいて、麻酔科の先生はのんびりと記録をしているし、ゆったりと時間が流れていた。

6時間の手術は、あっという間だった。

華麗なテクニックとか、派手なパフォーマンスなんてものはない。

ただ、目の前の仕事を正確にやり遂げているだけなのに、そこに医師の仕事を見た気がした。

そして、最後の縫合が終わって、パチンと糸を切る音がした。


「トータルアーチ終了」

「お疲れさまでした」


オペ室に和やかな空気が戻ってきた。

だけど、俺はまだ胸が高鳴って収まる気配がなく、手術台から離れた場所に呆然と立ち尽くしていた。