無事に手技を終えると、


「先生、血圧安定してきました!」


看護師さんのホッとした声。


「CTに行きましょう!」


知らない間に汗だくになっていた。

やべぇ、緊張したぁ~。

だけどなんとなく爽快感もある。

嫌いじゃないかもしれない…。

救命センターを出て、患者さんのベッドを押して、急いでCTの検査へ向かった。

原因の特定のために、放射線科の先生と画像をのぞきこんだ。


「これは…」


田尾先生が言った。


「心臓外科に連絡だな」

「先生、これって…」

「大動脈解離」


大動脈が見事に裂けてしまっている。

さすがに、一般外科が専門の田尾先生でも対応できない、特殊な分野なんだ。

電話して数分後、CT室に現れたのは心臓外科の先生たち2人。


「緊急オペの適応ですね。ご紹介ありがとうございます。あとはウチに任せてください」


こうして、アッサリと患者さんはオレたちの手を離れていってしまう。