焦ったら判断が鈍る。

深呼吸、深呼吸。


「…えーと、FASTネガティブです」

「あとは?」

「…あと…あっ?」

「なんだ!?」


田尾先生がいちいちリアクション大きくて、逆にこっちがビビる。


「心嚢液たまってますね…血圧大丈夫ですか?もしかして…」


そう言った瞬間、看護師さんが叫ぶ。


「血圧測れません!」


…マジか…!

緊張感で吐きそう。

けど、吐いてる場合じゃない!


「心嚢穿刺します!準備して!」

「はい!」


腹をくくって挑む、逃げられない現場。

1つでも多くの命を救いたい。


「田尾先生、フォローお願いします!」

「まかせとけ~」


ニッと笑った田尾先生、オレは冷や汗かいてんのに…なんか楽しそうだな。