「ん?同情なんてしないって言っただろ?それとも、同情して欲しいのか?」

「大きなお世話」

「そう言うと思った」

「あー、すげぇヒマ。センセー漫画買ってきてよ」

「少年は学校の教科書でも読んでなさい」

「なんだよケチ」


ふてくされたような顔。

そんだけ喋れたら元気だな。


「数馬、お前ケンカ強い?」


“数馬”って呼んだのは自然の成り行き。

オレ達は同志だからな。

数馬も自然と答えた。


「たぶんセンセーなんて1分も持たねーな」

「なんだとー?やってみるか!?」

「患者相手にケンカ吹っ掛けるなんてバカじゃね!?」


そう言いながら、いつもの笑顔。

それを見てホッとした。


「負けんなよ」


こんなとこで、お前の人生終わらせてたまるか。


「オレも、いつでも応戦してやるからさ」


これは同情なんかじゃないぞ。

仲間だから言ってんだよ。


「え~?センセー弱っちいんじゃねーの?菅野先生のが攻撃力あんじゃん?」

「なんだとコラ?研修医だからってバカにしやがって!」


お前が無駄口たたいて悪さができるように、オレが一緒に戦ってやるから。

そう心に誓った一瞬だった。