深江 数馬(ふかえ かずま)、16歳、男性。

1カ月前から全身の点状出血斑が見られていたが、改善せず地元のかかりつけ医を受診。

その後、大学病院を紹介され、3日前に来院し緊急入院となった。

マルク(骨髄穿刺)の結果、急性骨髄性白血病と診断された。


「失礼しまーす」


深江くんを診察するため、個室のドアをノックする。

返事はない。

そっとドアを開けると、むせ返るほどの煙。

慌てて閉めたけど、我に帰る。


「おいおい、病院で何やってんだよ!?しかも未成年!!」


もう一度ドアを開けて突入。

ベッドには深江数馬の他に、悪ガキ約3名。

タバコの煙が部屋に充満していて、思わず咳き込んだ。

わずかに開く窓を解放して、手に持っていた医学雑誌で仰いで空気を入れ替える。


「だれ?」

「知らねー」


全然悪びれることもなく、悪ガキ計4名はタバコをふかしている。


「お前ら未成年だろ!?しかも、病人!!病気を治しに入院してんだろ!?」


灰皿がわりの空き缶を悪ガキたちの前に突きだして、強制終了!

火災報知機が作動しなくてよかった…。

いや、よくないだろ!?


「なんだよセンセー、お堅いなぁ」


悪ガキ4名はケラケラ笑う。

タバコの匂いと、問題児を押しつけられた現実にげんなりする。